居酒屋で経営知識
108.SWOT分析(2)
【主な登場人物】 ジン(北野):主人公 サラリーマンの傍ら経営コンサルタントをしている 黒沢:居酒屋みやびの大将 酒と和食へのこだわりが強み 由美:居酒屋みやびの元看板娘 黒沢の姪 雄二(鳶野):ジンの幼なじみ ジンの応援で起業した 大森:みやびの常連 地元商店街の役員 近藤:みやびの常連 建設会社顧問 亜海:居酒屋みやびの新しいアルバイト 原島:ジンの高校の大先輩。新社長としてジンにアドバイスを求めている 新田:大森さんの紹介で知的資産経営を指導している。行政書士
研修は、SWOT分析が続いている。
今回、内部環境分析をバランススコアカードの視点を使って行うこととしたので、経験者も若干戸惑ったようだ。
「財務の視点、顧客の視点、業務プロセスの視点、学習と成長の視点に基づいて、自社の強み・弱みを抽出してもらいました。次に外部環境ですが、これは大きくマクロ環境とミクロ環境に分けて検討するのが一般的です」
「北野先生。外部環境は二つに分けて考えると言うのはわかりましたが、内部環境と同様、分かりやすい視点があれば教えて欲しいのですが」
「そうですね。マクロ環境でよく使われるのは、PEST分析という視点だと思います。PESTとは、政治面(P=politics)、経済面(E=economy)、社会面(S=society)、技術面(T=tchnology)の頭文字を取った造語ですが、それぞれで自社が受けるプラス・マイナスの影響を分析していくものです」
「政治面というのは具体的にどんなモノですか?」
「一般的に、法規制(規制強化・緩和)、税制、裁判制度、判例、政治団体の傾向などを考えますが、特に、業界に対する規制は検討の必要がありますね。後は、だいたいわかりますか。では、ミクロ環境ですが、顧客や競合を考えていくことになると思いますが、ポーターの5つの脅威を使ってみると良いと思っています。5つの脅威がわかる方いますか?」
由美ちゃんを始め、数人が手を挙げた。
「 ・新規参入の脅威
・代替品の脅威
・買い手の交渉力
・売り手の交渉力
・既存企業間の敵対関係
の5つです。これらの視点は脅威としていますが、自社にとってプラスもあるはずですので機会か、脅威かと考えてみてください」
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鍋をつつきながら、菊正宗の燗酒で反省会が続いている。
「これまでSWOT分析って、とにかくたくさん出していくことをメインにしていたけど、こうやってすべてに切り口を明確にして考えると分かりやすいわね。後で再検討するときにも分類されているから、整理もしやすいし」
「そうだね。SWOT分析はあまりにメジャーな方法なので、簡単にやってしまうけど、とても重要な部分なんだよね。特に、機会なのか、脅威なのか、強みなのか、弱みなのかについて、意見がかみ合わないことが多々あるはずなんだ。そのかみ合っていない部分が、本当は重要なポイントだと考えるべきなんだ。だから、切り口を明確にして、次のステップに進んでからも何度も戻って検討する必要があるんだ。単に、4つの箱に箇条書きで並んでいるだけだと、実務でやっていると何となく流してしまう危険性があるというのが実感なんだ」
「たかがSWOT、されどSWOTってところか。鍋と熱燗で随分あったまってきたし、〆はうどんか、雑炊か」
「そうね。今日は雑炊でいこうか」
(この回続く)
《1Point》
・SWOT分析の切り口
これらはSWOTを検討する上で使った方が良いと思うものを説明させていただきました。
それぞれ有名なものですので、確認いただき、是非、効果的なSWOT分析が出来るように考えてみてください。
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