172.診断士試験・2次対策(6)事例3

【主な登場人物】
ジン(北野):主人公 サラリーマンの傍ら経営コンサルタントをしている
黒沢:居酒屋みやびの大将 酒と和食へのこだわりが強み
由美:居酒屋みやびの元 看板娘 黒沢の姪
雄二(鳶野):ジンの幼なじみ ジンの応援で起業した
大森:みやびの常連 地元商店街の役員
近藤:みやびの常連 建設会社顧問
亜海:居酒屋みやびの新しいアルバイト
原島:ジンの高校の大先輩。新社長としてジンにアドバイスを求めている。

 事例2は分かりやすかったようで、結構議論が白熱した。

「考えたら、みやびでいろいろ検討したことはマーケティングがほとんどだったから分かりやすいのかもしれないわ」

「そうなんだ。だからこそ、落とし穴がある。みんな、自分で知っている業種などの事例が出るとどんどんイメージが広がるんだね。でも、試験としてはあまりイメージが広がりすぎると、書いてないことを勝手に繋げてしまい、回答の方向が違ってしまうこともあるんだ」

「それはありそうね」

「それはそうと、この酒しっかりしててうまいな」

「おや。鳶野さんが珍しく反応しましたね。それは、天狗舞の純米です。山廃ですね」

「大将。俺だって伊達に毎日酒を飲んでる訳じゃあないってことわかってくれた?ジンだけが偉いわけじゃない」

「鳶野さんが、ジンさんにライバル意識を出すなんて珍しいわね」

「由美ちゃん。雄二は結構負けず嫌いだからね。珍しいこともないよ」

「勝手に言ってろ。うまいものはうまい。そのくらいわかる」

「大将。雄二も気に入ったみたいなんで、もう一本お願い」

「はいよ。お、由美も飲むか」

「もちろんよ」

「ははは。一番ライバル意識が強いのは由美だった。忘れてた」

 大将が大ぶりの片口に一升瓶から天狗舞を注いで出してくれたので、それぞれのぐい呑みに分ける。

「ジンの講釈を聞きながらだとよくわからなかったけど、こうしてじっくり口に含むと、くせのないスッとした香りがあるなあ」

「まあいいさ。ところで、あと事例が二つあるんだけどどうする?」

「もちろんお願い。早くしないと酔いが回りそう」

「じゃあ、まずは事例3の生産・技術の事例がこれだ」

【2次試験当日チェック】

【生産・技術の事例チェック】

「過去の事業での経験を活かし、需要変動が激しい状況の中で顧客への直接販売、セル生産によって、スピードと機動性を強みに競争優位を構築する」

・セル生産方式は納期短縮につながる。(平準化、グループテクノロジー)
→特注部品や仕様変更など納期変動リスクに対し機動的に対応できる。(納期短縮)
→生産体制の平準化による稼働率向上を図れる。(コスト削減)

*モジュール化:インターフェースの統一

*オブジェクト指向開発:

*取引構造のメッシュ化

*OEM
メリット:
(1)安定した生産量の確保、設備稼働率の向上→製造単価の低減
(2)相手先のブランド力が利用できる
(3)相手先の販売力が利用できる
デメリット:
(1)自社技術流出の恐れ
(2)自社のブランドが育たない
(3)自社の販売チャネルが育たない
(4)相手に価格主導権を握られる恐れ
(5)最終ユーザーの情報が直接入らない

*工程毎の作業負荷の変動が大きい=ダンゴ生産となっている
 →小ロット生産体制にする:製造ロットを分割して日程計画に均等に割り付ける
 
*余力=能力-負荷 →負荷が大:納期遅れ、負荷が小:稼働率低下

*工程分析→工程改善
 ・製品工程分析、作業者工程分析、運搬工程分析

*SWOTの切り口:
(1)経営面:顧客の評価、営業体制、
(2)技術面:Q・C・D

『整理』:必要なものと不要なものを明確に分けて不要なものを捨てること→赤札作戦
『整頓』:必要なものを使いやすいように置き、誰でもわかるように明示すること→看板、白線表示

『赤札作戦』これは次の手順に従って行われる。

(1)対象を決める。:普通、整理の対象は、在庫、機械・設備、それに床などスペースになる。

(2)整理基準を決める。:必要と不必要との整理基準を決める。例えば、床在庫は、先1週間使わないものは不要とする。

(3)赤札作成:不必要なものを、誰が見てもわかるようにするため、A4程度の大きさの赤紙を用意し、不必要物の名称、管理担当など記載できるようにしておく。

(4)赤札貼り:整理対象のもので、不必要なものは赤札を貼って回す。

(5)不必要品置場の設定:赤札の貼られたものは、必要に応じ、時期をみて撤去する。

『品質面での社内の意識のずれ』→対策:TQC方針をトップが明確に打ち出し、全社で問題意識を共有しながら品質運動を行う。

『生産統制の情報化→POP』生産時点情報管理システム:現品管理(在庫管理)、余力管理、進度管理のための生産工程の情報をリアルタイムで管理するシステム。

「ジン。これはわからんぞ」

「メーカー勤務の人は別として、苦手な人が多いな。でも、基本は一緒だ。経営者の思いと顧客の声に耳を傾けるということになるな。ただ、特に、Q・C・Dが色濃く出るので忘れないことだ」

「Q・C・Dっていうのは、品質・コスト・納期だったわよね」

「そうだね。特に、生産・技術の事例では、工場が出てくることが多いので、これらの3つを直接コントロールしなければいけないんだ。それで、外注管理や製品の配置、情報管理などが絡み合う場合が多い」

「OEMっていうのは、別の会社のブランドで製造するってやつだよな」

「これも、結構出てるんだ。売上を上げていくために、大手企業からOEMでの製造を提案されているのだが、どうすべきかというような場面が多いかな」

「売上を上げるならいい話じゃないか」

「自社ブランドをどうするか、顧客から離れてしまうので、顧客の声が聞こえづらくなる、製造設備の増強のために投資が必要などという問題を導くことが多い」

「そうよね。中小企業にとって、下請的な立場から自社ブランドで戦えることが自立への道だものね」

「そういう方向性が多いかもしれないね。ただ、なじみのない人が多いから、セル生産方式とか、工程分析という言葉は知っていてもうまく説明できないことがあり得るので、代表的なものは具体的なイメージにしておく必要がある。また、営業が貰った情報をどう製造現場に反映するかなどという情報システムの問題が出やすいのもこの事例なんだ」

「情報システムっていうとどんなものだ?」

「全般で出しておいたけど、SFA(sales force automation)なんかは頭に入れておいた方がいいな。営業支援システムなんだけど、工場の進捗管理などと組み合わせて、顧客との面談の場で即座に納期を答えることができるシステムを構築するというような回答が必要なことが多いよ。顧客の不満がそこにあれば、直接的な回答になる」

「うーん。やっぱりキーワードだけじゃ、想像しづらいな」

「そこだ。まずは、試験問題をやってみた方がいいな」

(続く)

《1Point》
・中小企業診断士2次試験(筆記試験)

 事例3は苦手にしている人が多いようです。
 
 結構、複数のラインを管理するとか、在庫管理が具体的な方法とか、製造現場の問題など、製造の現場にいる人には常識的でも、普段接することのない人にとってはイメージしづらいですね。
 
 でも、用語がわからなければ、具体的な方法を書くなど、対応の仕方はあるのではないかと思います。
 
 SFAという言葉が出なくても、顧客情報システムと工場の進捗情報システムを接続し、携帯電話で確認できるシステムを構築する、などと書けばより具体的な提案になりますね。
 
 Q・C・Dを意識し、後は、経営者と顧客の声を忘れないことです。もちろん、従業員の声が書かれていれば、そこにもヒントがあると思ってください。