170.診断士試験・2次対策(4)事例1

【主な登場人物】
ジン(北野):主人公 サラリーマンの傍ら経営コンサルタントをしている
黒沢:居酒屋みやびの大将 酒と和食へのこだわりが強み
由美:居酒屋みやびの元 看板娘 黒沢の姪
雄二(鳶野):ジンの幼なじみ ジンの応援で起業した
大森:みやびの常連 地元商店街の役員
近藤:みやびの常連 建設会社顧問
亜海:居酒屋みやびの新しいアルバイト
原島:ジンの高校の大先輩。新社長としてジンにアドバイスを求めている。

久しぶりに由美ちゃんとみやびで勉強中?

「じゃあ、事例1は、組織や人事がテーマなのね」

「まあ、決めつけると良くないかもしれないな。自分が受けたときも、マーケティング・流通の事例だと思いながら事例2に取り組んだんだけど、どう考えても人事の問題がメインだったということもあったからね。素直に、与件文の企業の状況と設問を読むことが大事だね」

「テーマは示されているけど決めつけてはいけないってことね」

「そうなんだ。あくまでも与件文から読み取るつもりでいた方が思い込みで混乱することもないから。実は、本番中、続けて同じテーマが出るはずがないと、無理矢理違った視点で読み取ろうとしてしまい、不安が増してしまったんだ。もしかすると、前の問題で間違ったのかってね。試験が終わってから冷静に見てみると、設問文が示唆していることは間違いなかったんだ」

「素直にってことね。メモしておかなくちゃ」

「お、完全に受験モードだね」

「もちろんよ。鳶野さんにだけは負けられないしね」

「由美ちゃんなら大丈夫だよ。雄二は・・・努力が必要だな」

「ところで、この組織人事の事例チェックの始めに、『過去の経験に基づくコアコンピタンスを抽出し、過去の戦略的意志決定が環境変化の中にあって機能障害を起こしている部分をコアコンピタンスとのシナジー効果を活かしながら克服していく』って書いてあるけど、どういう意味?」

「事例1に限らず、特に過去と現在の比較が出ているときは、どこかで過去を引きずったために機能障害になっている場合が多いんだ。そこを、その企業の強みを活かしながら解決策を提示するという設問になっている場合が多いという総括だね」

「そうね。過去の成功体験が現在の変化への対応を阻害するっていうところね。うちの会社でもあるわ」

「現実に多い問題だよね。その他は、高齢化と技術継承、人事の評価の問題、多角化への対応、最近では産休の後の育児休暇などについても出やすいかもね」

【2次試験当日チェック】

【組織人事の事例チェック】

「過去の経験に基づくコアコンピタンスを抽出し、過去の戦略的意志決定が環境変化の中にあって機能障害を起こしている部分をコアコンピタンスとのシナジー効果を活かしながら克服していく」

・組織構造のフラット化=意志決定のスピード化
・ITを利用したネットワーク、他社とのネットワーク

「事業構造」:ビジネスモデルや儲ける仕組み
「組織構造」:組織図に示される組織体系
「組織的要因」:組織・人事の機能別戦略

*組織・人事の事例であることを意識すべき。(ただし、思い込まないこと)

*人事考課のキーワード
・多面評価制度:直属の上司だけでなく他の人からも評価する
・考課者訓練
・Off-JT(OJTに加えて)

*技能継承
(1)熟練技能者から若手へ:OJTによるマンツーマン指導
(2)再雇用制度の導入により熟練技能者の維持

・技能継承が困難→中小企業の経営への影響とは?→コアコンピタンスの喪失
(1)既存事業の競争優位性を維持できない
(2)新規事業(成長戦略)にとって高い技能によるリスク低減やシナジー発揮が阻害される

*組織の基本原則
(1)専門化の原則
(2)権限・責任一致の原則
(3)命令一元化の原則
(4)統制範囲の原則

*事業部制のデメリットのうち、「人材の囲い込み」と「短期収益重視」を忘れない

*強固な組織文化を形成する要因
(1)近接性
(2)同質性
(3)相互依存性
(4)コミュニケーション・ネットワーク
(5)帰属意識の高揚

*バランススコアカード
(1)財務の視点:株主を見ている・収益・配当
(2)顧客の視点:CS・市場シェア
(3)業務プロセスの視点:新製品開発・改善提案
(4)学習と成長の視点:能力開発費の消化率

*事業多角化の目的
(1)主力事業の停滞に対し成長機会の追求
(2)リスク分散と収益の安定
(3)余剰資源の有効活用
(4)シナジーの発揮(範囲の経済性追求)

*育児休暇取得による機会費用のハードル
(1)所得ロス
(2)キャリアロス
(3)業務知識ロス

「なんか俺の噂をしてなかったか?」

「雄二か。自意識過剰じゃないか?」

「お、由美。また、何か勉強始めたのか?」

「来年、中小企業診断士の資格に挑戦することにしたの」

「え?由美も受けるのか。俺もやってみようかと思っていたんだが」

「ええ、聞いたわ。原島社長も受けるらしいわ」

「うーむ。それで、抜け駆けをしようって言うんだな」

「今度は被害妄想か。前も言ったけど、まずは1次試験対策をしっかりしないといけないんで、できれば受験指導校で説明を受けてみるといいぞ。独学でやるのは応援するけど、ポイントや傾向は俺には分析できない」

「わかったわかった。それはそうと、まずは乾杯させてくれ」

 いつしか、診断士受験の勉強会のスタートが決まっていた。もう一度、勉強し直さないといけないなあ。

(続く)

《1Point》
・中小企業診断士2次試験(筆記試験)

 事例1は、組織・人事が大きなテーマになっています。ただし、中でも触れたように、意識はしても、それに引きずられないようにしてください。
 
 その企業が強みを発揮して、経営者の思いに向けて前進できるように考えていくことが基本です。
 
 多くの場合(たぶんすべてだと思いますが)、事例企業の経営者の思いやスタンスが書かれています。それを最後まで忘れないように、一番目立つようにして設問文に答えるようにしましょう。
 
 現実の企業指導においても、経営者の思いを最大限尊重します。場合によっては、思い込みが強く修正する必要がある場合もありますが、それでも、コンサルタントが勝手に方針を決めることはありません。
 
 経営者の思いの実現を支援するんだと考えてください。