169.診断士試験・2次対策(3)

【主な登場人物】
ジン(北野):主人公 サラリーマンの傍ら経営コンサルタントをしている
黒沢:居酒屋みやびの大将 酒と和食へのこだわりが強み
由美:居酒屋みやびの元 看板娘 黒沢の姪
雄二(鳶野):ジンの幼なじみ ジンの応援で起業した
大森:みやびの常連 地元商店街の役員
近藤:みやびの常連 建設会社顧問
亜海:居酒屋みやびの新しいアルバイト
原島:ジンの高校の大先輩。新社長としてジンにアドバイスを求めている。

「へい。いらっしゃい。毎度」

「9月に入っても、秋の気配がなかなかやってきませんね」

「そうですよね。昼間が暑いのはわかるんですが、朝晩も暑い日が多いですから参りますよね」

 亜海ちゃんの運んできた生ビールをゴクゴクと飲んで落ち着いた。

「いらっしゃい。お、由美っペ、久しぶりだな」

「とは言っても一週間経ってないけどね」

「由美ちゃん。大将は心配なんだよ。親心だよね」

「ジンさん。そう言われると反論できないけど、まあ、由美っペも大人になってますからね。たまに顔を出してもらえればいいってことです」

「なんか、今日はしみじみねえ。でも、素直にうれしいわ」

 由美ちゃんも生ビールをゴクリと飲み、そういえばという顔をした。

「ジンさん。原島社長の会社の人が中小企業診断士の試験合格したんですって?」

「ああ、田中君だね。1次試験を通って、来月の2次試験に向けてこの前の日曜日もうちで勉強していったよ」

「田中さんって、あの営業部の人よね。初めは大人しくって、ホントに営業って思ったんだけど、最近は積極的になったって鳶野さんとも話していたの」

「そうなんだ。それにしても、短期間でよく1次受かったよ。2次への切り替えもうまくいっているようだし」

「やっぱり私も来年受けようかな。ジンさんに教えてもらえれば独学できそうだし」

「最近は雄二や原島さんまで受けようかって言い出したんだよ。でも、経営の基礎的な知識を勉強するって言うきっかけにはなるから、もし由美ちゃんも参加するなら、定期的な勉強会を開いてもいいかな」

「うれしい。もちろん参加するわ。でも、前からジンさん言ってたわよね。診断士の2次試験はわからないって」

「いわば、経営そのものみたいなもので、正解はないのかもしれないと思わせられるところはあるからね。でも、試験である以上、何らかの採点基準はあるわけだから、本当の経営とは違うけどね」

「例えば、どんな試験なの?」

「2次試験は、4つの事例で一つ一つが別個の試験になっているんだ。つまり、4科目あると思ったら良いね。基本的に、(1)組織人事、(2)マーケティングと流通、(3)生産・技術、(4)財務会計、の4つになるんだ。それぞれ、事例企業の状況について『与件文』という1ページから2ページ半程度の説明文や財務諸表があって、大きく4から5問の設問に答えていくという形になっている。設問は小問に分かれていることもあるんだけど、それを各科目80分で解答するんだ。完全に筆記試験で、指定文字数内で書くことを求められている」

「筆記試験だから大変なのね。例えば、どんなことを求められるのかしら」

「ちょうど、田中君に送ったポイントメモがここにあるから読んでみる。説明じゃなくて、俺が受験したときに、直前確認に使ったものなんだ」

「へえー」

 A4用紙に印刷した「2次試験当日チェック」を手渡した。これは本当に俺のチェックリストだったんだ。

【2次試験当日チェック】

【全般チェック】

*戦略的解答に対しての留意点

(1)経営環境を分析する、
(2)戦略ドメイン:誰に・何を・どのように、
(3)市場細分化と製品差別化

*「競争優位を確立するため」に行うべきこと。「強み」を「機会」に適合させる=適合できていない場合は「強化」するポイント

*経営環境分析の切り口(外部・内部両方あったら)→3C

*最後の設問に気をつけろ!:経営者の考え、視点が重要

*今後に与える影響:短期的視点と長期的視点(常に両面で考えよ)

*ビジネスモデルとは:収益化の仕組みである
  顧客ニーズや市場環境に対応するだけでなく「収益性」を追求するシステムでもあることを忘れないこと。

・IT・情報システムのキーワード

 ★総合的に行う→ERPパッケージ(統合業務ソフトウェア)
 ★インターネット利用→ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)
 ★企業内でのデータ交換→EDI
 ★生産管理と営業→SFA

*「IT化」といえば
 (1)顧客との関係性強化(人的関係性→形式知化)
 (2)業務効率の向上
 (3)情報収集(商品開発)

*モジュラー型開発方針は、他社との協業の際にメリットとなる。

*切り口がわからなくなったら
 ★P-D-C-A
 ★E-C-R-S:排除-統合-プロセス変更-単純化
 ★3C:「市場・顧客(customer)」「競合(competitor)」「自社(company)=強み」
 ★人・モノ・カネ・情報・ノウハウ
 ★3S(単純化・標準化・専門化)

*問題点が「売上」なのか「利益」なのかに注意!
・売上アップなら積極策、利益率アップならコスト削減

・「競争優位の観点から重視した留意点」=比較する企業に対する弱みの観点

『最も重要なリスク』:顧客の信用を失うリスク→品質・納期を損なうことにつながるものは、すべて顧客の信用を失うという最大のリスクとまとめることができる

『視点』に気をつけろ!
→戦略的に見直すための視点とは、経営者の視点、何をしたいのか。収益か、シェアか、安定化、それとも将来性か。

『理由』改善策の理由=問題点ではない。理由は、問題点を解決できると言うことを言うべき。
ex.セル生産方式を提案する理由=工程間に停滞や手待ちが発生しているから、ではなく、「停滞や手待ちが無くなるから」である。

「うわー。キーワードがたくさん出てくるわね。これらを使って文章で答えを書いていくのね」

「割と、キーワードを書かせるというのは少ないかもしれない。はっきり書かせるのは財務会計の事例くらいかな。財務会計では、必ず、財務諸表分析があるから、指標名や実際の計算などが必要なんだ。ちょっと特殊だけど、逆に点数を取りやすいかもしれないね」

「でも、面白そうね。これは全般だったけど、各事例のチェックリストもつくってあるのね・・・」

(続く)

《1Point》
・中小企業診断士2次試験(筆記試験)

 継続して2次試験対策を書いています。今回は、試験前日に作成したチェックリストから【全般】を取り出しました。
 
 各事例毎にも作成していますので、試験前のチェックに使ってもらえれば幸いです。次回から各事例のものを掲載します。
 
 あくまで、私が勉強していたときのキーポイントですので、それぞれ皆さんの学習内容と離れているようでしたらあまり気にしないでください。
 
 問題は、各設問に対して何も書けないということです。書かなければ絶対に合格しませんので。
 
 ただし、一問くらいほとんど書けなかったけど合格した人もいることは確認しています。結構いるんです。つまり、慌てず、最後まで諦めなければ、合格する可能性はあります。
 
 そのためにも、書く練習は怠りなきように。