168.診断士試験・2次対策(2)

【主な登場人物】
ジン(北野):主人公 サラリーマンの傍ら経営コンサルタントをしている
黒沢:居酒屋みやびの大将 酒と和食へのこだわりが強み
由美:居酒屋みやびの元 看板娘 黒沢の姪
雄二(鳶野):ジンの幼なじみ ジンの応援で起業した
大森:みやびの常連 地元商店街の役員
近藤:みやびの常連 建設会社顧問
亜海:居酒屋みやびの新しいアルバイト
原島:ジンの高校の大先輩。新社長としてジンにアドバイスを求めている。

 原島さんの会社の田中君との中小企業診断士2次試験対策を我が家で行っている。
 
「ところで北野さん。実は試験の時、鉛筆を使うか、シャーペンを使うか悩んでいるんですが、やっぱり鉛筆では大変ですか?」

「お、それは俺も悩んだんだよ。初めの頃は、鉛筆の方が書きやすいので数本並べて使っていたんだ。シャーペンだと芯が折れたり、うまく出てこないとイライラするからね。でも、結局はシャーペンに戻ったんだ。ただし、安物はやめてそれなりにしっかりしたものを試しながら決めたよ」

「そうなんです。シャーペンを使っていると突然芯が出なかったり、折れたりが心配で」

「どちらを使うにしても数本準備しておく方がいいよ。ダメなら次のを使うということと、休み時間に芯を替えておいたり、鉛筆なら削ったものだけ用意したりね。それこそ、落としたときのことを考えて、消しゴムも複数個用意したよ」

「へえー。そこまで準備したんですか。それと、学校ではマーカーを使うように言われて、例えば、強みは赤、弱みは黄色というように色分けすれば抜けがないと言うんです。でも、結構この色分けの手間が時間を取るし、マーカーのキャップの開け閉めに気を取られてしまう気がするんですが、北野さんは使いました」

「自分の場合、最初はマーカーを5色だったか使ったな。同じ考えで、強み・弱み・機会・脅威と色分けし、もう一つ、経営者の思いという部分を別の色にしたよ。でも、結局やめたけど」

「どうしてやめたんですか?」

「同じだよ。色を考えて、マーカーのキャップを外し、キャップをするというのが無駄に思えて、一度はノック式のマーカーを使ったんだけど、これもやめた。色を忘れてしまうんだよ。もっと言うと強みと弱みの色を間違ったり、途中で考えが変わったときに訳がわからなくなってしまうんだ。4色が一本になっているボールペンを使ったこともあるけど、結局色分けをするという行為が自分には合わなかったんだ」

「それじゃあ、チェックやマークはどうしたんですか?」

「すべてシャーペンで書いた。強みや弱みなどのキーワードには下線を引いて、その行の右の余白に強みならSに○を書く、弱みはWに○というように、後で確認するとき右余白を見るとわかるようにしたんだ。そうすると、間違ったら消せるし、とりあえず余白を縦に見て、キーワードを探せば何とかなったよ」

「やっぱり、いろいろなテクニックがあるもんですね。悩んでしまいます」

「もう悩んじゃいけないタイミングだな。決めてしまった方がいいよ。今やっている方法を変えるのはあまり得策じゃない。よっぽど合わないと思うならすぐ変える必要があるけどね」

「北野さんのシャーペン一本が合いそうな気がします。どうも、気が散る性格なので、あれこれ考えない方法がいいです。具体的にどうやったのか教えてください」

「了解。そういえば、本試験の時の問題用紙をまだ持っているから見てみる?書き込みが生々しく残っているよ」

「それ、お願いします。ありがたいです」

 昔の問題用紙を引っ張り出した。我ながらこんなものでよくまとまったものだ。

【2次試験本番のテクニック】

・問題用紙の表紙を外す。

→模試の時やっている人がいたので真似をしたのだが、これが効果抜群だった。

つまり、表紙の裏はまったくの白紙なので、メモを取ったり図示したり、または下書きをするのに便利なのだ。

余白にゴチャゴチャ書くと、後でわからなくなるので絶対に真似をすべきテクニックだ。

・電卓は使いやすいものを念のため二つ用意する。

→やり過ぎと思うかもしれないが、事例4では電卓は必須だ。壊した時を想定し全く同じものをもう一台買っていった。

また、メモリーキーを使った方がいい問題もあるので、メモリーキーの使い方はマスターすべし。

・ドメインを図示する

→メモにしている紙の一番分かりやすいところにドメインを書くといいというのが私のお勧め。

その際、ただ、誰に・何を・どのようにを箇条書きにするのではなく、単純だが、3角形を描き、頂点に例えば、C(Customer)-F(Function)-R(Resource)と書き、そこにドメインの3つを書き込むというのが私のやり方。

図となっているだけで目に付くし、何度も見直しやすい。

「ありがとうございました。また、自宅に帰って自分のやり方を固めたいと思います」

「そうだね。本番は余計なことに気を遣わないように十分準備して悪いことはない。後は、緊張せずに淡々とそれまでのやり方で考え・書くだけだよ」

「はい。なんとしても今年合格します」

「うん。その意気だ」

 田中君は、やる気を出して帰って行った。
 
 俺も、あの頃は死に物狂いだった。あの時の思いを忘れちゃいかんな。

(続く)

《1Point》
・中小企業診断士1次試験合格発表の後に書いています。(あくまで2011年の話です)

 診断協会の統計資料を眺めてみましたが、合格率が16%台でした。ちょっと低めでしたね。
 
 もしかすると、科目合格狙いが増えて、全科目に集中せずにとりあえず受験している人が増えた結果かもしれませんね。
 
 欠席無しの受験者数が15,803名で合格者数が2,590名でしたが、この統計に勤務先区分別の申込者数と合格者数が載っていたので合格率を計算してみました。
 
 合格率トップは政府系金融機関、2位が独立行政法人・公益法人、3位がコンサル系以外の自営業、4位が一般の民間企業と続きます。
 
 それに対し、ワースト1位が学生ですが、2位が中小企業支援機関、3位がなんと経営コンサルタントというものです。
 
 たぶん、本気度の問題なのだと思いますが、本職の経営コンサルタントが合格できないというのもこの試験の広すぎる試験範囲の結果でしょう。
 
 ちなみに、科目別の合格者数を見ると(科目のみの合格者)、合格者の多いのは予想通り経営情報システムで次が経営法務でした。今回の経営法務は取り組みやすかったようです。
 
 それに反して中小企業経営・中小企業政策は僅か5%!
 
 科目合格を狙う人は後回しにするようですね。一番傾向が不安定なので後に残すと大変だと個人的には思うのですが。