153.マネジメント基礎講座:これだけは覚えたい経営戦略論

【主な登場人物】
ジン(北野):主人公 サラリーマンの傍ら経営コンサルタントをしている
黒沢:居酒屋みやびの大将 酒と和食へのこだわりが強み
由美:居酒屋みやびの元 看板娘 黒沢の姪
雄二(鳶野):ジンの幼なじみ ジンの応援で起業を目指している
大森:みやびの常連 地元商店街の役員
近藤:みやびの常連 建設会社顧問
亜海:居酒屋みやびの新しいアルバイト
原島:ジンの高校の大先輩。新社長としてジンにアドバイスを求めている。

「へい、いらっしゃい。毎度」

「亜海ちゃん、生一丁!」

「はーい。ジンさん、走ってきたんですかあ?」

「今日はとにかくビールが飲みたくてね」

「おまちどおさまです。茶豆の枝豆も食べますよね」

「もちろん!ビールに枝豆は欠かせないよ」

「ジンさんは結構、定番好きですよね」

「大将。定番になるって言うことは、多くの人から見ても、ベストマッチということでしょう。歴史がありますよ」

 久しぶりに大森さんと近藤さんも杯を傾けていた。
 
「大森さん、お久しぶりです。最近忙しかったようですね」

「貧乏暇無しだよ。震災の関係もあってね。材料不足で大変だったんだ」

「そうでしょうね。大森さんのところは建材がメインですからね」

「こんなことになると、一番基本の衣食住が問題になるよね。それでも、衣や食は、輸送ができれば何とか援助できるが、住はそう簡単じゃない。特に、土地への愛着や人のつながりとか、仕事や学校もあるから、数があれば良いってことにはならないしね。その上、通常一生の買い物のつもりで手に入れる人が多いから、落ち着くまでは時間がかかるだろう」

「そうですよね。インフラもそうですが、基盤がしっかりしないと次に進むのも大変です」

 ふと、次の講座への展開を思い出した。
 
 基礎知識が一通り進んだので、そろそろメジャーな経営戦略論を学んでもいい頃かもしれない。
 

さて、これまで経営戦略の基礎知識を確認してきました。

その中でも登場した基本的な経営戦略論についても頭に入れておきましょう。

企業風土にもよるのでしょうが、事業計画などにこれらの手法を使った戦略を明示したり、各部門への本社指示の中で使われている場合があります。

ただし、経営戦略のツールを使って検討する担当者や部門のトップですら言葉の定義を知らない、何のためにフレーム分けするのか考えていない、など無駄な作業となっていることが多いように感じます。

これから、必ず登場すると言われる戦略論を中心に見ていきましょう。

スクリーンに学習する戦略名を映し出した。

【学習内容】
(1)アンゾフの経営戦略(アンゾフマトリクス・成長ベクトル)→既に学んでいます
(2)PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マトリクス)
(3)ビジネススクリーン
(4)マイケル・ポーターの「競争戦略」
(5)フィリップ:コトラーの「市場地位別戦略」
(6)ブルーオーシャン戦略
それぞれの戦略を見ていく前に、それぞれどのような観点で見ていけばいいのか、それぞれの戦略の位置づけを概観しておきましょう。

ただ、提示されたから使うのではなく、何のためにその戦略論を使うのかを頭の片隅に置きながら活用すべきだからです。

もう一度、経営戦略の構造を確認します。

これからは、ドメイン(戦う場所)を決定した後の戦略を中心に確認していきます。

位置づけは以下の通りです。

全社戦略:環境分析から導き出した市場と製品について方向性を検討する
 →(1)アンゾフの成長戦略、(2)PPM、(3)ビジネススクリーン
事業戦略:全社戦略で決定したそれぞれの市場について何をもって戦うかを決定する
 →(4)競争戦略、(5)市場(競争)地位別戦略

(6)のブルーオーシャン戦略は、割と新しい戦略(2005年発表)であり、環境分析~事業戦略まで統合した理論として捉えます。

それでは、それぞれについて、簡単な解説を配っていますので、あらかじめグループで確認してください。

「ところで、ジン。前から不思議に思っていたんだが、お前のお得意のドラッカーの考え方を学ぶ講座のようなのはやらんのか?」

 途中から加わった雄二が不意に質問してきた。

「得意なわけじゃあないけど。ドラッカーについては、体系として学んだわけではないし、まだまだだと思っているんだ」

「ええ?ジンさんの指導って、いつもドラッカーだったじゃない。私はそう思ってたわ」

「由美ちゃん。確かにそうだね。うーん。整理してみる必要はあるかもね」

「よっしゃ。そう来なくっちゃ。読書会は読書会として意味はあるけど、ジンのドラッカーを聞くだけでもいいぞ」

「俺のドラッカーか。原島さんの会社の講座が終わったら考えてみるか」

「おいおい、北野。だったら、うちの会社の応用講座にしたらどうだ」

「それもそうですが・・・いいえ。原島さんの申し出はありがたいですが、できれば、他の業種の人も入れて議論したいですから、もう少しオープンな講座にしたいですね」

「なるほど。よし。会場スポンサーになって協力しよう」

「あ、ありがとうございます。それが一番大変なところでした」

(続く)