150.マネジメント基礎講座:経験曲線

【主な登場人物】
ジン(北野):主人公 サラリーマンの傍ら経営コンサルタントをしている
黒沢:居酒屋みやびの大将 酒と和食へのこだわりが強み
由美:居酒屋みやびの元 看板娘 黒沢の姪
雄二(鳶野):ジンの幼なじみ ジンの応援で起業を目指している
大森:みやびの常連 地元商店街の役員
近藤:みやびの常連 建設会社顧問
亜海:居酒屋みやびの新しいアルバイト
原島:ジンの高校の大先輩。新社長としてジンにアドバイスを求めている。

「へい、いらっしゃい。毎度、お揃いで」

「久しぶりに原島さんの会社へ行ってきたんですよ」

「この間言っていた再開ですね」

 震災後、会社の業務が落ち着くまでは講座を休止としていたのだが、今日から再開することにしたんだ。
 
「原島さん、雄二もまずは腰を落ち着けよう」

「おう」

 亜海ちゃんが3人分の生ビールを満たすため、サーバーにしがみついている。

「おまちどおさま」

 生ビールで乾杯だ。

「かんぱーい」

「北野、今日は久しぶりだったんで、グループワークでこれまでの復習を簡単にしたのは良かったみたいだな」

「2ヶ月経ってしまいましたからね。次回から元に戻しましょう」

「ジン。俺も、いい復習になった。理論は、何度も復習すると受け止め方が変わってくるな」

「実務とリンクしてくるからな。自分の周りも変化するから、何でもなかったことが重要になったりするんだ」

「生涯学習っていうのは大事だな。俺も、学生時代勉強しなかった代わりに、今頃勉強の重要性を感じているよ」

「雄二がいつになく素直だな」

「俺も成長しているってわけだ」

皆さん、お久しぶりです。2ヶ月ぶりとなります。

原島社長とも話をして、そろそろこの講座も再開しようと言うことになりました。

2ヶ月前までの内容を覚えていますか?

まずは、再開へ向けた復習をグループでしてみましょう。

お手元に、これまでのテーマと簡単な説明をつけた資料を配りました。どんな内容だったか、お互いに発表しあって見てください。

→目次 

(1) マネジメント基礎講座:はじめに
(2) マネジメントと管理の違い?
(3) テイラーの科学的管理法
(4) テイラーの科学的管理法(2)
(5) 科学的管理法から人間関係論へ
(6) 人間関係論「ホーソン実験」
(7) モチベーションの理論
(8) マグレガーのX理論・Y理論
(9) 次の展開へ向けて
(10) リーダーシップ概論
(11) 組織論の基本的考え方
(12) 組織形態
(13) ミッションとは?
(14) ビジョンと戦略
(15) 戦略の種類
(16) ドメイン(戦略ドメイン)
(17) SWOT分析
(18) 製品ライフサイクル
(19) 成長マトリクス
初回のオリエンテーションを入れるとちょうど20回でストップしていた。

はい、それでは前を見てください。
前回は成長マトリクスまで進めてきました。

今日は、次に繋げる話だけしておきます。

経験曲線という言葉を聞いたことがありますか?

主に製造現場での学習効果として知られていたことをコンセプト化したものです。

簡単に言ってしまえば、「たくさん作れば一つあたりのコストは下がっていく」という単純なことになります。

なんとこの単純な言葉(コンセプト)は、PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)というツールで有名なボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が開発したものです。

実は、このコンセプトを前提として、PPMを開発したのです。

PPMについては、回を改めて説明していきますが、経験曲線というコンセプトを整理すると以下のようになります。

・「累積」生産量が2倍になると単位当たりのコストが2割~3割低減するという経験則

・職人(生産現場)の学習効果だけでは説明がしきれないため「同一製品を継続して生産する経験の蓄積(累積)が総コストの差を生む」というコンセプトとした

これらの考え方は、経営戦略の指標として「市場シェア」を重視するという思想に繋がったと言われています。

皆さんの業務においても、何となくわかっていることだと思いますが、こんな経験則もコンセプト化して、汎用ツールとすると経営全体に効果を与えることができると言うことですね。

 日本酒に替えた。
 
 天明に加え、今日は飛露喜の吟醸が入っていた。
 
 最近ではなかなか手に入らない酒の一つだったので、すぐに手をつけてしまった。
 
「ジンさんにかかると日本酒を隠しておくのが至難の業ですからねえ。この飛露喜もなかなか流通しないんで全部飲まないでくださいよ」

 珍しく大将が弱気に見える。
 
「大丈夫ですよ。他のお客さんにも味わってもらわなければいけないですから」

 福島の酒を味わいながら、地に足をつけて活動しようと改めて誓い合った。

(続く)

《1Point》
・経験曲線
・「累積」生産量が2倍になると単位当たりのコストが2割~3割低減するという経験則

・職人(生産現場)の学習効果だけでは説明がしきれないため「同一製品を継続して生産する経験の蓄積(累積)が総コストの差を生む」というコンセプトとした

・これらの考え方は、経営戦略の指標として「市場シェア」を重視するという思想に繋がった

【注意】
経済の用語で「規模の経済」というものがあります。

規模が大きくなる(生産量が増える)と単位当たりのコストが下がるという理論ですので同じことかと考えがちですが厳密に言うと違いますので注意してください。

→規模の経済:基本的には生産量が増える(規模増大)と固定費分が相対的に減る(固定費は生産量が増えても変動しないため)ため、単位コストは低下するという考え方