125:マネジメント基礎講座スタート

【主な登場人物】
ジン(北野):主人公 サラリーマンの傍ら経営コンサルタントをしている
黒沢:居酒屋みやびの大将 酒と和食へのこだわりが強み
由美:居酒屋みやびの元 看板娘 黒沢の姪
雄二(鳶野):ジンの幼なじみ ジンの応援で起業を目指している
大森:みやびの常連 地元商店街の役員
近藤:みやびの常連 建設会社顧問
亜海:居酒屋みやびの新しいアルバイト
原島:ジンの高校の大先輩。新社長としてジンにアドバイスを求めている。

「いらっしゃい。毎度」

 みやびの縄のれんをくぐるとスイッチが切り替わる。

「北野。待ってたぞ」

「原島さん。早いですね。申し訳ありません」

「いや、いや。社長特権だ。早めに抜け出しておかないと、出られなくなるからな」

 原島さんからメールでの誘いが入っていたのだ。もちろん、相談もあることになっている。

 生ビールで乾杯をし、原島さんの会社の現状を聞いていた。ドラッカー「5つの質問」を実践している企業の様子を聞くというのは、自分にとっても勉強になる。

「自分が見るところ、社員の末端までコミットメントするにはもう少し時間がかかるだろうな」

「原島さん。それは仕方がないと思いますよ。一人ひとり、これまでの経験も、性格も違うのですから。まずは、中間管理職と言われる層の社員達を本気にすることですね」

「そこが今日の相談なんだ。今回の取り組みで、中心的なメンバーにはマネジメント意識が芽生えてくると同時に、元々、経営企画などが得意なメンバーも加わったことで、社内に自ら学ぼうという雰囲気ができてきたんだ」

「それは、すばらしい。その雰囲気を社風まで持ち上げることができたら心配はほとんど無くなりますね」

 満足そうに原島さんが頷いている。
 
「そこで、ある程度までは自主学習でいいと思ったが、リーダー格のメンバーから、異口同音に、使える基礎を学びたいというリクエストが続いたんだ」

「なるほど。世の中には、本やセミナーなどいくらでもありますから、迷うんでしょうね」

 原島さんの目がニヤリとしている。まさか・・・

「そこで、北野にお願いだ。全般的な経営知識の基礎講座みたいなのを企画して欲しいんだ。もちろん、会社として講師契約を結んでやるんだからボランティアではないぞ」

「原島さん。嫌な予感がしてましたけど、うれしい申し出ではありますね。ただ、自分も会社勤めですから、日程を決めるのが難しいし、場合によっては、ドタキャンもあり得ますから難しいです」

「そこは契約条項に入れるさ。テーマに沿った実習作業を事前に作成してもらって、北野が来られない場合は、その実習に取り組んで、次回には解説を加えるというような対応でいいと思うんだ。ほら、お前と仲の良かった鳶野も、経営者クラブで講師をしているらしいから、彼とタッグを組んでもらってもいい」

「なるほど。雄二とペアでできるならいいかもしれませんね」

 大きな影が後ろに回り込んできた。

「雄二!お前、いたのか?」

「ははは。原島さんから連絡をもらってな。事前にお前の了解を取ってからと言われたんで、外で様子をうかがっていた」

「北野を試した訳じゃないんだが、鳶野と話していて2人を組み合われば、という案が浮かんだんだ」

「まあ、確かに。それじゃ、前向きに考えます。とりあえず、雄二、座れよ」

「おう」

 再度乾杯をし、ちょっと考えた。
 
「原島さん。実は、少し前にマネジメント基礎講座と称して、e-ラーニング用のコンテンツを作成しかかったことがあるんです。それは、企業に勤める40歳くらいの管理職なりたてをターゲットにしています。営業や設計、製造など、専門的な職能で評価されて来た人が、昇進することで、突然、組織の長になると、それまでの経験と違ったマネジメント能力を要求されることで悩むんです。彼らに、企業のマネジメントを行うために必要な基礎知識を学んでもらおうと思って作りかけていたんです」

「それで行けるじゃないか」

 雄二も原島さんも手をたたいて喜んでいる。

「北野。それこそ、私がお願いしたかったことだ。職人的にやってきた奴らに、組織目標に向けたマネジメントという考え方を身につけさせたいんだ。もちろん、私も学びなおしたいんだがね」

「ジン。ある程度できているなら、それでカリキュラムをざっと作って、スケジューリングをしようぜ。俺だって、事前学習が必要だからな」

 それからは、ちゃんこ鍋をつつきながら、具体的な方向性の確認に入った。

(続く)

《1Point》

 前回、「営業」という困難なテーマにチャレンジしましたが、単発でやっていても仕方がないという考えが前からありました。
 
 この小説スタイルを続けていくとどうしても内容が飛び飛びとなってしまいますからね。
 
 皆さんの意見の中にも、小説部分と講座部分を分けたらどうか、などの意見もありました。
 
 そこで、小説内部でもコメントしていますe-ラーニング講座用のコンテンツを小説の中で公開してしまうことにします。
 
 実は、有料のe-ラーニング講座用のコンテンツなのですが、仕事の都合で寝かしてあります。内容のブラッシュアップのためにも、無料公開(^_^;)してしまいます。
 
 途中でいつものごとく、小説のストーリー優先で順番がバラバラになるかもしれませんが、以下のような目次を考えています。
 
1. マネジメントと管理は違うのか?
 1)マネジメントを一言で言うと?
 2)テイラーの科学的管理法から始まった
 3)人間関係論で
 4)モチベーションといえば・・・
 5)性善説と性悪説  ・X理論・Y理論
 6)リーダーシップ理論
 7)コンティンジェンシー理論
 8)組織論
 9)ナレッジマネジメント

2. マネジメントというと出てくる言葉
 1)ミッションっていうのはいったい何?
 2)ビジョンとミッションの違い
 3)経営戦略にはどんなものがある?・成長戦略・競争戦略・撤退戦略

3. マネジメントにとって重要なこと
 1)強みに焦点を絞る(コアコンピタンス)
 2)既存と将来のバランスをとる
 3)イノベーションを日常活動にする

4. マネジメントには経営戦略が必要
 1)戦略とは一言で言うと何?
 2)戦略の種類:全社戦略・事業戦略・機能戦略
 3)ドメインもしくは戦略ドメイン
 4)シナジー
 5)SWOT分析
 6)製品ライフサイクル
 7)成長ベクトル
 8)経験曲線
 9)コンティンジェンシー
 10)コアコンピタンス

5. これだけは覚えたい経営戦略論
 1)アンゾフの経営戦略(アンゾフマトリクス・成長ベクト
ル)
 2)PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マトリクス)
 3)ビジネススクリーン
 4)マイケル・ポーターの「競争戦略」
 5)フィリップ:コトラーの「市場地位別戦略」
 6)ブルーオーシャン戦略
6. あたりまえですか?組織は何によって決めてますか?
 1)組織論の基本原則を知ってますか?
 2)基本的な形態
 3)事業部制
 4)カンパニー制
 5)マトリックス型組織
 6)ネットワーク型組織

7. マーケティングって正直言ってなにをするの?
 1)マーケティングの定義(マーケティング・コンセプトの変遷)
 2)マーケティング戦略のプロセス
 3)経営戦略とマーケティング
 4)STPで戦う場所を決める
 5)マーケティングミックスで具体的な戦術を決める

8. 財務諸表分析をやってみよう
 1)財務会計の目的と説明責任
 2)財務諸表の初歩の初歩
 3)収益性分析
 4)安全性分析

9. 企業内アントレプレナーシップ実践
 1)アントレプレナーシップとは何か
 2)企業内でアントレプレナーシップが必要な理由(イノベーション)
 3)知的資産経営の視点(無形の強みを文書化する)
 4)コンプライアンス経営
 5)内部統制の視点
 6)ビジネスプランを作ってみる

 
 当初作った目次です。内容を確認すると、すでに表題や順番が替わっていましたが、こんな内容を考えているということでお許しください。
 
 内容は、当然ですが、これまでの125回の中に出てきたものばかりです。ただし、より詳しく分かりやすい内容を目指します。
(^_^;)
 
 それでは、新たな居酒屋みやびをよろしくお願いします。