102.生産管理とは

【主な登場人物】
ジン(北野):主人公 サラリーマンの傍ら経営コンサルタント をしている
黒沢:居酒屋みやびの大将 酒と和食へのこだわりが強み
由美:居酒屋みやびの看板娘 黒沢の姪
雄二(鳶野):ジンの幼なじみ ジンの応援で起業を目指している
大森:みやびの常連 地元商店街の役員
近藤:みやびの常連 建設会社顧問
亜海:居酒屋みやびの新しいアルバイト


(前回まで:雄二が金属加工会社のコンサルを行うこととなり、ジンに生産の管理についてのイロハを教えてもらうことになりました。人・材料・機械設備の3要素と品質・原価・納期の3条件が管理の基本でしたね)

しばらく、四季桜と上喜元という大将お勧めの日本酒で四方山話となっていた。

「上喜元を飲んで上機嫌、なんてね。なーんだ、亜海ちゃん。オヤジギャグって顔して」

「鳶野さんって、時々うちのお父さんみたいなこと言うから困ります」

「ええー。それはないだろう。いかん、いかん。最近、オヤジ達と付き合い過ぎたか」

「まったくだ。そう言えば、その金属加工会社の2代目は何歳くらいなんだ?」

「おお。そう言えば、今日のテーマは生産だった。丸田工業って言うんだけど、2代目の健吾が、俺より7歳上だったから41歳かな」

亜海ちゃんが聞いていた。

「鳶野さんって、まだ34歳だったんですか?びっくり」

「亜海ちゃん、ますます凹むよ。何歳だと思ってたんだい」

「ええー。内緒」と言って、奥の客の方へ逃げていった。

「雄二、諦めろ。俺もお前も若くは見られたことは無いだろう。それより、今日は、生産の話はもういいのか?」

「いや、こうなりゃ、仕事に賭けるしかないから、頼む」

やれやれ・・・

「じゃ、基本の基本、その2。生産管理とは何かを考えよう。管理という言葉を考えると、一般的には、P-D-C-Aのサイクルを回すということになるだろう」

「プラン・ドゥー・チェック・アクションだな。それはわかるが、具体的に何をどうするんだ」

「そうだな。生産活動にとって最も重要なものは何だった?生産の目的は何だ」

「それは、その・・・生産される製品をきっちり作るということじゃないか」

「まあ、そうだが、きっちりというのが、さっき言ったQCDだ。つまり、品質のいい製品を、適正なコストで、必要な時期に産出することだ。生産条件を管理する活動を第一次管理と言って、品質管理・原価管理・工程管理という視点で分けて管理するのが基本だ」

「なるほど。顧客の求める機能・仕様を満たす品質が保証される管理、顧客も自社もたぶん取引先もそれなりに満足できる原価を達成する管理、もちろん納期に間に合うように合理的にスケジューリングする管理というところか」

「うんうん。さすが、知識も無しにコンサルをしているだけのことはある。うまくまとめるもんだ」

「そんなほめ方をされてもうれしくないな。ところで、生産には、投入の生産要素もあったはずだが、そちらは生産管理には含まれないのか」

「そんなはずはないだろう。生産要素を管理する活動は第二次管理と言って、もちろんある。ただ、こちらは、プロジェクト毎とか、製品別の管理というより、全社的な活動になるので長期的な計画に基づくことが必要になる。たとえば、人についてみれば、採用・教育・昇進などの人事や労務管理もあるだろうし、設備管理には将来の予想に基づいた投資的な視点も必要になる」

「そうか。元々、俺が引き受けたつもりだったのは、第二次管理部分までだったわけだな。それが、第一次管理もゴッチャにしたんで、手に負えなくなったんだ。それがわかっただけでも楽になった」

「うーん。そう言う考えもあるな。でも、今更、第二次管理までしか知らんと言えるのか」

「ま、やってみるさ。少なくても、第一次管理自体は専門家に任せた方がいいという説明が出来る」

「実際には、第二次管理だって、在庫管理や外注管理は経営に直接影響するから簡単ではない。まずは、どうやっているのかを診断するという視点で見てみることだな」

「そうだな。問題点なんかは、担当者がわかっているものだ。それを聞き出せばおおよそわかるというのが、ジン流だったな」

「そういうこと。そして、何から手を付ければいいかは、経営者が問題意識として持っていることが多い。まず、目で見て、耳で聞き、身体で感じることを忘れるな」

「サンキュウ。素直に感じてくる」

経営者にとって、第三者に見てもらい、話を聞いて貰うだけでも発見があるものだ。その点で言えば、雄二のような生産を知らない他人が現場を見るという活動は必要なのかもしれない。

(続く)

《1Point》
・生産管理の定義
「経営における生産活動を効率化し、生産的諸資源の有効性を最高に発揮させるための体系的施策をいう。具体的にいえば、需要に適合した良質の製品ないし財を、安価にしかも適時に生産するための体系的努力である。」(日本大百科全書)

「具体的にいえば」の後が、Q・C・Dを言っていますね。

第一次管理:生産条件を管理する活動
Q:品質管理
C:原価管理
D:工程管理

第二次管理:生産要素を管理する活動
資材管理・外注管理・在庫管理
設備管理・工場管理・作業管理
人事管理・労務管理・・・・などなど
*第二次管理は、生産要素を最適な状態に保つように管理するということになります。

前回より、中小企業診断士の試験でも必須科目となる「生産管理」をテーマとしています。

2次試験においては、この科目を苦手にしている人が多いというのがよく言われます。

それは、単純に生産現場を見る機会が少ないというのもアレルギーとなっている原因かもしれません。

ところが、多くの問題を見てみると、ある程度の用語の知識さえあれば、Q・C・Dの問題と割り切ることもできると感じます。

後は、情報伝達という点で、営業部門と設計部門・製造部門・倉庫部門及び外注とのコミュニケーションの問題くらいではないでしょうか。

あまり深入りしない程度に、もう少し生産管理を考えてみたいと思います。