45.パンデミックとは

(前回まで:バランススコアカードの説明をしました。視点を複数持って目標設定から評価までバランス良く検討するという姿勢はすべてにおいて重要ですね)

【復習】
バランススコアカードの視点
(1)財務の視点
(2)顧客の視点
(3)業務プロセスの視点
(4)学習と成長の視点

「いらっしゃい。ジンさん、今日は早いですね」

「出先から直帰したんですよ。桜の名残を惜しんでいたら、無性に四季桜が飲みたくなりましてね」

「ちょうど、『はなのえん』の生が入ってますよ」

「ラッキー。早く来た甲斐がありました」

 四季桜は栃木の酒で、すっきりとした飲み口で定番の一つだ。

「今日は長野から馬肉が入ったので馬刺しをお通しに出しますね」

「大将、ちょっと贅沢すぎるお通しじゃないですか」

「ジンさん限定ですので他のお客さんには内緒ですよ」

 切子のグラスに注がれた酒が爽やかに輝いている。とろりと溶けるような馬刺しとスキッとした酒のハーモニーが素晴らしい。
 
「うまいねえ。生きてて良かったと思えますよ」

「さすがに大げさですね。でも、合うでしょう」

「ドンピシャですね。・・・ところで、今日は由美ちゃんは休みですか?」

「商店街の集まりに行ってるんですけど、そろそろ帰ってくるはずなんですがね」

 噂をすればなんとやらで帰ってきたようだ。
 
「ジンさん、いらっしゃい。遅くなっちゃった」

 慌てて奥で着替えて出てきた。

「おじさん、今日の集まりで新型インフルエンザ対策をしてますか、って言う話しが出てたんだけど大変みたいなの」

「もうインフルエンザの季節じゃないだろう」

「パンデミック対策だね。大将、普通のインフルエンザじゃないんですよ」

「やっぱり、ジンさんは知ってるのね。そう言えば、パンデミックっていう言葉も使ってたわ」

「なんだい、そのパンでミックスって」

「パンデミック。いやねえ、オヤジギャグみたい」

「大将。パンデミックっていうのは世界的大流行を言うんですよ。今は、鳥インフルエンザが突然変異して人から人へ感染することで起こると言われています。厚生労働省では、日本国内で3200万人が感染して、64万人が死亡すると推計し警告を出しています」

「ええー。そんなインフルエンザがあるんですか」

「まだ発生していませんので推測の域を出ません。でも、世界保険機関が常時アラートを出していることからも、必ず発生すると考えて行動しなければいけないと思いますね」

「そうなのよね。今日、区の職員の方が説明してくれたんだけど、ワクチンが行き渡るまでに1年くらいかかるので、予防を徹底するしか対応策は無いって言うのよ」

「推定では、発生後2ヶ月に渡って感染が広がり、その後、約1年間は断続的に流行するとしているようです。つまり、まずは2ヶ月間、動けなくなるということが一番の問題なんです」

「ジンさん、それは具体的にはどういうことなんですか」

「大流行している2ヶ月間は、一番の防衛策は籠城だと言われています。つまり、人の集まるところへ行かないことしか、感染の拡大を止める方法はないんです。そうすると何が起こるかというと、会社に行けない、買い物に行けない、当然、物の流通も動かないというように生活の基盤がストップしてしまうことになると考えられているんです」

「と言うことは、うちの店に来るお客さんはゼロになるかもしれないんですか・・・」

 さすがに、大将も呆然としている。
 
「脅かすわけではないですが、その可能性は高いと言えるんです。特に、フェイスツーフェイスで行われているサービス業はストップする可能性があります。もっと言うと、企業においても、従業員が来られないとか、最悪、経営者や役員が感染すれば、意思決定もできなくなってしまいます。多くの企業で事業がストップすることが危惧されています」

「どうしようもないんですか・・・」

「大将、でも悲観論ばかり言っていても始まらないですよね。多くの企業や団体が活動を始めています。ただし、いつ大流行するか判りませんので、今すぐに対策を考えなければいけない状況にあると思います。企業だけじゃなく、ここのような個人事業であっても、生きていかなければいけませんから、できる限りのことをやる必要はあると思います」

「今日は仕事どころじゃないなあ。ジンさん、具体的な対策を教えてください」

(続く)

《1Point》
・パンデミック(インフルエンザパンデミック)

 鳥インフルエンザ(H5N1)が変異して人-人の感染能力をもってしまうと一気に世界中に大流行すると予想されてます。
 このインフルエンザの致死率は非常に高く、60%とも言われていますし、特に、10代から30代の若い年代での致死率が高いと警告しているようです。
 
 このため、経営の視点から考えると、自社の業務がどうなってしまうのか、どうしなければいけないのかを事前に決定しておかなければいけないという課題が突きつけられています。
 
 経営知識ではありませんが、現在の重要な課題ですので、継続して情報提供していきます。
(注)2010年〜2011年のころの文章です。そういえば、そんなことがありましたというくらい記憶が曖昧になっていますね。でも、いつ同様のパンデミックと言われる事態が起こるかはわかりませんね。

以下は、厚生省と国立感染症研究所のリンクですので、何かあったときには参考にしてください(2018/11/18追記)

厚生労働省 インフルエンザ情報

国立感染症研究所 感染症疫学センター