31.登場人物全員集合

(前回まで:最近、みやびにやってくると、由美ちゃん相手に経営知識講座を開催しているような状況になっている。でも、年末ですから今回は趣向を変えて)

 会社の納会も終わり、何かと忙しかった今年も締めに入る。
 
 自分の部屋を1日掛けて大掃除をしている最中に電話が鳴った。由美ちゃんからだった。
 
「大掃除が終わったら内輪だけで忘年会をやるんだけど来られない?」

 もちろん、願ったり叶ったりだ。一人で過ごす年末は寂しすぎる。
 大掃除にも力が入る。
 
 着替えて外に出てみると、思った以上に寒かった。そして、思った以上に早い夜だ。日が暮れるのがこんなに早くなってたんだ。
 
 商店街も今年の営業を終えたところが多いようで、静かな年末の夜だった。
 
 いつもの路地に入ると、提灯も暖簾も出ていないみやびから柔らかな灯りが漏れている。
 
 ガラスの引き戸に手を掛けると、やけに賑やかな声が聞こえていた。
 
「遅い遅い。もう始まっちゃうよ」
「おお、やっと来たか」
「ご苦労様」「待ってました」

 思いもかけない人たちが集まっていた。え?なんでうちの会社の人まで・・・
 
「ジンさん、皆さんお待ちかねですよ。今日は、うちの店の残り物を綺麗サッパリ処分してもらおうと思いましてね。知っている限り呼び出したんですよ」

 由美ちゃんが仕切り顔で近づいてきた。

「ジンさんはここね。びっくりしたでしょう。ほとんど全員集合ね」

「大将、由美ちゃん、それにしてもこのメンバーは・・・」

「いいからいいから。まずは鳶野さんの隣に座って」

 雄二が俺の肩をトントンと叩くとニヤリとしながら立ち上がった。

「それじゃ、やっと主役も登場しましたので、今年一年の皆さんとの出会いやご支援に感謝して、カンパーイ!」
「カンパーイ!!」

 いきなり乾杯し、大きな鍋がそれぞれのテーブルでグツグツいいだした。

「雄二、このメンバーはどうなってるんだ?」

「ああ、このメルマガも30回を越えて、登場人物の関係がわからないとか、ちょい役でしか出してもらえないという読者や出演者の不満が高まっているだろう」

「まあ、最近ストーリー重視に流れすぎているという評価が増えているけどな。先日も、沙知はいつから出ているんですか、とか、近藤さんの会社のコンプライアンス診断内容は出てこないんですかとか、質問が増えているのは確かだ」

「だろ。年末だ、全員に集まってもらって自己紹介をしてもらうことにした」

「そんな・・・ますます混乱するような気がするが」

「ま、行数がまた増えちまうんでさっそく自己紹介よろしく」

 いきなり、大将がハチマキを取って・・・
 
「居酒屋みやびの大将こと黒沢勝です。日本酒にこだわり、青森でちゃんこ屋をやっている長井英雄さんから伝授されたちゃんこ鍋が看板です」

「その居酒屋みやびの看板娘の由美こと清田由美です。黒沢さんは、私の母の弟で、つまり、私の叔父です。今は育ての親のような存在なんです」

「黒沢さんから紹介された長井英雄です。話に出てきただけで初出演ですね。昔、東京近郊でちゃんこ鍋屋をやっていたとき、黒沢さんが働いてくれていました。腕前は今では黒沢さんの方が上です」

「ここの商店会で理事を務めます大森です。建築資材の卸と店舗販売を親父から受け継いでいます。居酒屋みやびには、毎日のように入り浸っています」

「同じく常連の近藤です。建設会社の大義建設工業という会社に勤めていますが、元々は公務員で良くいわれる天下りですね。私もほとんど毎日、帰りがけにみやびで一杯やっていくのが楽しみです」

「近藤さんから話がありました大義建設工業の社長をしています義本です。ジンさんには、うちの会社のコンプライアンス診断をしてもらっています。それと近藤さんはあんなことを言ってますが、本当に優秀な技術者ですし、官庁での仕事の視点をきっちり社員に示してくれますので働いてもらっているんです。天下りなんて言葉は忘れてください、ね、近藤さん」

「先日から世間をお騒がせしています有鉄物産の社長をしています有森です。北野仁君とは直接の絡みはありませんが、私の対応を正確に伝えてくれていると思います。私の宝物の一人です」

「北野仁さんの部下で山野綾と申します。直接的には営業を教えてもらっていますが、これからは経営的な考え方も学ばせてもらおうと思っています」

「ジンの同期で、今回の談合事件の直接担当。木村輝明です。言いたいことは山ほどありますが、今は止めておきます」

「木村君の上司で吉田と申します。直接の登場はありませんが、今は、公正取引委員会の任意の調査に協力中です」

 一通り自己紹介が回ったようだ。雄二が再度立ち上がった。

「これで、全員かな。さて真打ち登場で、俺の番だな」

「あ、鳶野さん、待って。沙知から国際電話が入ってるわ」

「おっと、読者からの質問が一番多かったんだっけな」

「もしもし。ジンさん、鳶野さん、お久しぶりです。長井沙知です。私も直接には登場してませんよね。由美さんから紹介があっただけでした。私は、青森の居酒屋みゆきを経営している長井英雄の一人娘です。ただ、このメルマガでは混乱するので説明は省きますが、育ての親に長井誠二という少し前までドラックストア王と言われた人がいます。今は、誠二父さんのおかげで、アメリカのビジネススクールへ留学しています。経営学修士(MBA)を取るつもりです。みなさん、来年もよろしくお願いします。ジンさん、私も直接出演させてくださーい」

「沙知からも自己紹介があったようだし、いいかな。鳶野雄二、起業家としてここでは参加させてもらっている。ジン(北野仁)とは、小学校から一緒だった。高校までだったな。空手が強みで、弱みは女、かな。正直なところも強みだとジンには言われている。さあ、締めはジン」

「皆さん、ありがとうございます。皆さんのおかげで楽しく今年を送ることができました。一応、このストーリーの主人公役のジンこと北野仁です。経歴はこれまでの皆さんの話に少しずつ出てきたので略しますが、強みは、ラグビーという組織スポーツの経験と中小企業診断士の勉強やMBA solutionの講座を通して吸収したものです。また、ピーター・ドラッカーの著作やドラッカー学会との出会いも大きな転機となりました。来年も更に上を目指して皆さんと共に前進したいと思っています。よろしくお願いします」

「ちょっと長かったですが、これで全員の自己紹介が済みました。鍋も煮込みすぎないうちに食べることにしましょう」

 特製ちゃんこ鍋に歓声が上がる中、賑やかに居酒屋みやびの忘年会が進んだ。
 
 またもや、イレギュラーな内容となりましたが、登場人物の確認はいかがでしたか。本当にこんなつたない小説形式の文章におつきあいいただきありがとうございました。
 
 今年一年、人生が180度変わったような感じがするほどの年となりました。これも、読者の方をはじめとする直接・間接に出会った方々のおかげだと思っています。
 
 本当にお世話になりました。そして、来年もよろしくお願いします。

(来年へ続く:メルマガ配信時は年末でしたのでこういう形となっています)

*)余計な注:登場人物については全くのフィクションですので悪しからず。設定の都合上、実在の人物とかぶるところもありますが、大目に見てください。