14.3C分析

(前回まで:ビジネスモデル仮説が形となりました。次のステップは、この仮説を検証する形で情報を収集します。2次データと呼ばれる既存の情報を収集し、より詳細な1次データは、雄二のコミュニティでアンケート調査を行うという方向性を決めました)

土曜日は朝から雨だった。

最近すっきり晴れないため、しばらく布団を干していないことに気づいた。1人住まいの身では週末しかチャンスがないので、ここのところの天候には閉口させられる。

昨夜、雄二が第1ステップのビジネスモデル仮説まで進んだこともあり、彼の上機嫌に引きずられ、若干飲み過ぎたようだ。

朝のシャワーを浴び、玄関のポストから新聞を引き抜くと、朝食を作る気にならないことに気づいた。久しぶりに、近所の喫茶店のモーニングサービスでも利用するか。

雨も霧雨なので、ジーパンにポロシャツ、サンダルスタイルで出かけた。

同じような輩が5人ほどトーストをほおばっていた。

厚焼きトーストに目玉焼き、ミニサラダ、コーヒーのモーニングサービスを頼んで新聞に目を通しているときに携帯メールの着信があった。

雄二からだ。

『おはよう。昨夜言っていたSNSの招待メールを送っておいたのでアンケート内容はよろしく。俺は、国会図書館で2次データの調査にかかる。雄二』

昨夜の記憶がよみがえった。

SNSのコミュニティを利用するアイディアは思いつきだったが、ターゲット層とダブっているらしいので、ニーズの再確認やビジネスモデルとの整合性を直接聞いてみるのはおもしろそうだと考えたんだった。

ここの人気メニューの厚焼きトーストを食べ終える頃には、酒から来る憂鬱さもあらかた消えた。苦めに淹れられたコーヒーで締めて、自宅へ戻る。

パソコンのメールをチェックすると雄二からのSNSへの招待メールが来ていた。
さっそく入会し、雄二のコミュニティを確認した。

思った以上にメンバーが多い。その上、雄二の言うように、本を書きたい人や読むことが好きな人、批評するのが好きな人が集まっており、活発な意見が、割とまじめにやり取りされていた。

今時こんな落ち着いたコミュニティがあることに驚くが、リアルで雄二に会っている人がリーダー的に発言しているらしい。確かに、雄二本人に会っていれば、過激な発言をすることはできないだろう。

機能として、アンケート集計的なものもあるようだ。

さっそく、雄二のまとめた仮説のうち、ビジネスモデル全体への興味度合いや参加魅力度、情報の提供方法、金銭授受や金額感覚、類似サービスとの比較などを簡潔に質問形式にしてみた。

割と活発なコミュニティでもあることなので、希望を書く欄も増やしてみることにした。質問や意見が活発になれば、アンケート自体よりもそれらの発言から、予期せぬ発見も期待できるだろう。

半日かけてまとめたものを雄二にメールした。
とりあえず、1週間くらいで集められるだけ集めてみて、様子を見てみよう。

雄二の集めている業界やシンクタンク、政府系の調査で大まかな外部環境は見通しがつくだろう。

これに、SNSでの収集した意見を加えて検証データが揃うことになる。

次のステップとして、考えているのはこうだ。

・収集した情報を元に環境分析を行う。
・分析のフレームワークとしては3C分析を使う。

「3C」分析とは、検討をするための切り口となる対象を3つ考える。
1)Customer(顧客ニーズ、市場分析):顧客の視点から、特にビジネスモデルとターゲット顧客のニーズの整合性を検討する。
今回は予期せぬ意見・反応を期待できるので、ビジネスモデル自体を再考することも考える。

2)Competitor(競合分析):類似の企業や潜在的な競合企業が明確になれば、これらの現状の情報から、SWOT分析を行う。

3)Company(自社分析):外部環境と仮説を立てた内部環境をSWOT分析で検討し、クロスSWOT化する。

この分析によって、自社の成功要因を明らかにし、「強みを機会に生かす」方向性を明確にすることができるはずだ。

ここまでできれば、後は、具体的なビジネスプラン>に落とし込むことができるだろう。

雄二に説明する内容を、最近習慣化しつつあるマインドマップに落とし込んで見た。

ふと気づくと、窓から聞こえるのは、ヒグラシの鳴き声だった。

(続く)

《1Point》
・「3C分析」
自社の成功要因を検討するためのフレームワーク。

顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の頭文字から3Cと呼んでいる。非常にメジャーなフレームワークである。

顧客ニーズをベースに、競合相手と自社両面から分析するため、戦略的な切り口と言われている。

現在の状況:

『ビジネスモデル仮説の検証』:仮説の項目に基づいて調査を実施中。

『環境分析』←3Cの視点から、調査データ利用(次回)

『ドメインの設定』←いよいよビジネスプランの主眼へ

(Next Stage)